
Web Factory MK 日本のBiz Dev担当 菅伸吾です。
オフショア開発が日本において主流の開発モデルとして浸透している状況について前回は書きましたが、ではオフショア開発拠点としてどのような地域がどのような理由で選ばれているか、具体的にはなぜヨーロッパ各地にFacebookやSAPなど、IT大手が積極的に開発拠点を設立・投資しているかについてお伝えします。
大手IT企業が続いてヨーロッパの開発拠点に投資
2021年10月にFacebookがメタバース空間を構築するビジネスモデルを発表しヨーロッパで10,000人規模のソフトウェアエンジニアの新規雇用を発表しました。 多くのメディアではFacebookがEUにおける個人情報保護法に配慮したとの報道がされていますが、実際には北米では新規で優秀なエンジニア (Facebookが雇用するのですから) を雇用するのはITエンジニア需要が爆発的に増えている事、人件費の高騰などから必要な人員を確保するのが難しい状況です。
実際、弊社Web Factory MKもシリコンバレーのスタートアップ企業の多くの開発実績がありますが、投資規模の大きい米国では50人規模、100人規模の開発チームの要望は珍しくありません。優秀かつ資金豊富な企業でも優秀なソフトウェアエンジニアの確保は簡単ではありません。
ソフトウェア開発者の争奪戦
多くのIT系メディアでも多く目しますが、ソフトウェアエンジニアの需要は引き続き高まっており、パンデミックもありリモートでの開発体制が進んだ事もあり世界のオフショア開発拠点で優秀なソフトウェアエンジニアの争奪戦が起こっておりコストも上昇しています。実際に開発パートナーを探している皆様であればコストの上昇は日本においても顕著に体験されていると思います。
このような状況もありますが、実は2010年代から多くのIT大手はインドやヨーロッパ、一部東南アジアに開発拠点を設立して現地でソフトウェアエンジニアの雇用をしています。
Facebookはヨーロッパで積極的な開発拠点への投資を初めていますが、ERP最大手であるSAP、STRIPEやWaltなどはヨーロッパに主要な開発拠点を設けています。
多くのIT大手がヨーロッパに投資を集中させている理由、これは時差や英語でのコミュニケーションが容易な事、また西、東ヨーロッパには多くの優秀な理系大学があり*、また留学もしやすいために多くの優秀な理系学生のプールがあり、ソフトウェアエンジニアとしても大手ITもしくはその開発需要を担う体制があるためです。
事実、ERP最大手のSAPはスロバキア、チェコ、ポーランド、スロバキア、ブルガリアに投資をし、同社としては最大の開発センターを設立し、当地の優秀な学生やエンジニアをリクルートして成功しています。(SAPによるブログにも詳細が記されいます)
高度な開発技術を有する理由
実際当社Web Factory MKでも90%以上の社員はコンピュータサイエンスもしくは高度な数学の学位を持っています。学生の多くは自国語と英語、もしくは複数の言語を話し、自国内の大学もしくは他のヨーロッパ各国の優秀な大学に進学する事を選びます。これはヨーロッパならではと言えます。
もちろん東南アジアにも多くの優秀な大学もあり、ベトナムなどは近年オフショア開発の拠点として成長していますが、開発者数や技術力、またIT大手の需要を担うまでにはヨーロッパには追いついていません。(一般的に技術力が高い開発はヨーロッパ、比較的簡易で多くのリソースを要する場合は東南アジアと言われます)
開発内容とプロジェクトのスケールにより、ヨーロッパもメリット・デメリットの双方があり、開発要件や開発の進める手法による部分ももちろんありますが、一概にエンジニアの単価やブリッジSEの日本語能力だけでオフショア提携先を決めることは、避けた方が賢明です。 優れたエンジニアを多く抱える、ヨーロッパへのオフショア開発の検討をされてみてはいかがでしょうか。Web Factory MKのサービス概要もご覧ください。
著者について
菅伸吾 スガ シンゴ
米国NDSU大学卒業後日本マイクロソフトにてプロダクトマネージャとして組み込み機器むけWindows製品を担当。Windows製品本部にて製品ローンチを経験後、インテル株式会社にて大手PCメーカーダイレクト営業、タブレットやモバイル機器の新規事業開発従事。2012年にApple Incに入社、iOSプロダクトマネージャとしてiPhoneのマーケティングをリード。AIスタートアップを経て2020年よりWeb Factory MKの営業統括及び開発をサポート。